日本のワイナリーの数は近年増加傾向にあり、国税庁の統計資料によると平成29年3月31日時点の数は283となっています。
その背景としては、日本ワイン自体の人気もありますが
ワイン特区
の影響もあるんです!ニュースなどで名前は聞いたことあるかもしれませんね!本日はワイン特区について解説していきます!
ワイン特区って?(全国のワイン特区一覧)
ワイン特区を簡単にいうと・・・
本当にかんた?んに説明しますと、ワイン特区は・・・
ワインを作る規制が緩い地域
なんです。「ワインを作るためには、ある程度の量を作ること」と酒税法で決まっているのですが、この「ある程度の量」を緩和した地区のことです。
酒税法で定められた規定
お酒に関する法律はワインであれ、ビールであれ、何であれ酒税法で定められています。その中には、お酒の製造や販売のために守らなければいけない決まりがあります。その製造の決まりの中に、
【免許を受けた後一年間に◯リットル作ること】
となっています。この◯は、お酒の種類ごとに異なっており、
一 清酒 六十キロリットル
二 合成清酒 六十キロリットル
三 連続式蒸留焼酎 六十キロリットル
四 単式蒸留焼酎 十キロリットル
五 みりん 十キロリットル
六 ビール 六十キロリットル
七 果実酒 六キロリットル
八 甘味果実酒 六キロリットル
九 ウイスキー 六キロリットル
十 ブランデー 六キロリットル
となっています。ちなみにワインは果実酒にカテゴライズされます。ワインに限らず製造量が3年間下回ると、免許が取り消しになります。
特区によって緩和された点
上記でお話ししたとおり、ワインの場合は年間6,000リットルのワインを製造する必要がありました。あまり想像がつかないと思いますが一般的な750mlビン換算で8,000本もの本数となります。その規制が、特区の場合・・・
6,000リットル → 2,000リットル
と、製造量の制限が1/3となります!本数換算だと2667本です!
また、2,000リットル以下の場合でも生産農家が営む旅館や農家民宿であれば提供が可能です。ただし、卸や小売業はできません。
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特区制定の背景
お酒は基本的に酒税法で法定製造数量が定められている関係で、なかなか個人で作ることが難しくなっています。個人でお酒が作れなくなったのは明治時代に遡ります。政府が戦争等のため税金を徴収する必要があったため、お酒、塩、砂糖などに課税をしました。酒税は当時、税の36%を占めるほどの大きな政府の収入源でした。そのため、自宅での酒造りを厳しく取り締まったそうです。それが今なお残っているのですが、平成に入りやっと緩和されてきました。
1993年 酒税法改正による酒造免許の要件緩和(細川内閣)
2002年 構造改革特別区の制定(小泉内閣)
この2002年の構造改革特別区というのがワイン特区というものです。
特区制定の効果は??
この規制緩和によって小規模事業者でもワイン作りに挑戦しやすい環境が整いました!やはり、ワインを作るには大きな初期投資が必要です。自家でぶどうまで用意するとなると個人ではなかなか壁が高いんです。
しかし、特区の制定によってその壁はかなり低くなりました。まずは小さくスタートして創意工夫をしながらワイナリーを大きくしていくという計画を建てることも可能です。新規のワイナリーが出てくることは日本のワイン業界の底上げ、レベルアップに繋がる素晴らしい試みであると言えます。
全国のワイン特区一覧
この特区の認定を受けた地区は平成30年3月31日現在で229地区にも及びます。「どぶろく」等のワイン以外のお酒も含みますが、結構な数ですよね。国税庁のHPに一覧が掲載されていますのでご覧ください。
国税庁HP:構造改革特別区域法による酒税法の特例措置の認定状況一覧
※ページの下部に一覧が記載されています。
ピックアップ
国税庁のサイトで”ワイン”と名のつく特区を抜粋しました。多分もっとあるので目安程度に?(平成30年3月登録分まで)
都道府県 | 申請主体 | 特区の名称 |
北海道 | 余市町 | 北のフルーツ王国よいちワイン特区 |
北海道 | ニセコ町 | ニセコ町ワイン特区 |
北海道 | 仁木町 | NIKIワイン特区 |
北海道 | 名寄市 | 日本最北ワイナリー創生・名寄(なよろ)ワイン特区 |
青森県 | 黒石市 | 黒石りんごワイン産業活性化振興特区 |
青森県 | 弘前市 | 弘前ハウスワイン・シードル特区 |
青森県 | 八戸市 | 八戸ワイン産業創出特区 |
岩手県 | 花巻市 | 花巻クラフトワイン・シードル特区 |
山形県 | 上山市 | かみのやまワイン特区 |
山形県 | 南陽市 | ぶどうの里なんようワイン特区 |
福島県 | 二本松市(東和地域) | 東和ワイン特区 |
茨城県 | つくば市 | つくばワイン・フルーツ酒特区 |
栃木県 | 那須町 | 那須町どぶろく・ワイン特区 |
埼玉県 | 入間市 | 入間ワイン特区 |
埼玉県 | 小川町 | 有機の里小川ワイン特区 |
山梨県 | 北杜市 | 北杜市地域活性化ワイン特区 |
山梨県 | 韮崎市 | 武田の里にらさきワイン特区 |
長野県 | 高山村 | 信州・高山ワイン特区 |
長野県 | 山形村 | 信州山形ワイン特区 |
長野県 | 塩尻市 | 桔梗ヶ原ワインバレー特区 |
長野県 | 上田市、小諸市、千曲市、東御市、立科町、青木村、長和町、坂城町 | 千曲川ワインバレー(東地区)特区 |
長野県 | 松川町 | 南信州松川町りんごワイン・シードル特区 |
長野県 | 大町市、安曇野市、池田町 | 北アルプス・安曇野ワインバレー特区 |
鳥取県 | 倉吉市、湯梨浜町、北栄町 | 倉吉・湯梨浜・北栄ワイン特区 |
島根県 | 海士町 | 海士ワイン特区 |
岡山県 | 新見市 | 新見A級グルメワイン特区 |
岡山県 | 井原市 | ぶどうの里 井原ワイン特区 |
岡山県、広島県 | 笠岡市、井原市、三原市、尾道市、福山市、府中市、神石高原町 | 備後ワイン・リキュール特区 |
岡山県 | 吉備中央町 | 吉備中央でぇれーうめぇワイン特区 |
広島県 | 福山市 | ふくやまワイン特区 |
広島県 | 廿日市市 | はつかいちワイン特区 |
山口県 | 周防大島町 | 周防大島ワイン特区 |
福岡県 | 北九州市 | 台地が醸す夢のワイン特区 |
熊本県 | 宇城市 | 宇城の地のもんでワイン・リキュール特区 |
熊本県 | 天草市 | 天草宝島ワイン・リキュール特区 |
大分県 | 宇佐市 | ツーリズムの町宇佐・ハウスワイン特区 |
宮崎県 | 小林市 | 名水のまち ワイン・どぶろくづくり特区 |
宮崎県 | 綾町 | 綾町特産酒類ワイン特区 |
まとめ
いかがでしたか?特区数もいっぱいあるんですね。それだけワインの作り手の需要があるということでしょう。飲食物なので無秩序に免許を交付するのはいかがなものかと思いますが、ワイナリーの数が増えるということは日本ワインが成長していくうえで必要なことかと思います!今後の小規模ワイナリーに注目ですね!